【場所:1月 薄雪かかる清水寺】
佐渡島のほぼ中心、新穂大野にある「清水寺」。開基は808年。桓武天皇の仰せで、京都から布教に来た賢応法師が造った。
京都「清水寺」を模した舞台「救世殿(ぐぜでん)」があり、本尊は千手観世音菩薩だ。樹齢数百年にもなる杉並木が続き、冬景色はまさに静寂の世界。
佐渡汽船・尾渡シャチョーが行く!
絶妙スポット 冬
「2022年3月末に佐渡汽船の社長に就任しました。以来3カ月にわたり佐渡島を知るために週末に車を走らせ、バスガイドを務めていた社員に島内の名所を案内してもらいました。
神社やお寺に行きたいとリクエストすると、案内してくれる先々がどこも大変立派で驚きました。金山や銀山、北前船で栄えていた佐渡が、江戸時代からいかに豊かな島だったかが察せられます。
20カ所近くを回ったなかでも、特に印象深かったのが「清水寺(せいすいじ)」です。京都の清水寺(きよみずでら)と同じように立派な舞台がありますが、静寂で鬱蒼とした森と一体化しています。誰かがすぐに手を入れなければ森に埋もれてしまいそうな危うさすら漂います。参拝者はほぼ見られず、舞台に上る階段も崩れてしまいそう。
そのギリギリな自然との一体感や静寂さが神秘的な趣で、深く感じ入るものがありました。“自分一人の不思議な世界”といった感覚を得られるのも、この寺ならではだと思います。」
(文=沼由美子)