【生産者の想い】尾畑酒造
尾畑酒造 代表取締役社長 平島 健さん

 

尾畑酒造 真野鶴のあゆみ

佐渡の地酒「真野鶴(まのつる)」の醸造元・尾畑酒造は、真野村新町(現佐渡市真野新町)1892年(明治25年)に尾畑与三作(よそさく)が創業しました。以来、この地で酒造りを行っています。

日本酒はその地の気候風土や食、さらには伝統文化などにも大きく影響されて成熟します。四方を海で囲まれた自然環境、多彩な伝統芸能など独自の文化が宿る佐渡で、真野鶴は生まれ育てられてきました。

 

四宝和譲

私たちのモットーは、酒造りの基幹である「米」「水」「人」に「佐渡」を加えた「四宝和醸(しほうわじょう)」。この4つの宝の和をもって醸すことを大切に、酒造りに取り組んでいます。

「米」

米どころ新潟県の中でも、佐渡のお米はブランド米の魚沼産と並ぶほど高く評価されています。

また、朱鷺をはじめとする生物多様性を推進する「生き物を育む農法」などが評価され、2011年日本で初めて世界農業遺産(GIAHS)に認定されました。

私たちが使用する酒米も減農薬栽培を行っている農家と提携しています。

佐渡の南側・小佐渡の山間部で育んだ「五百万石」や、牡蠣殻農法で知られる佐渡相田ライスファーミングと「越淡麗」の契約栽培など、自然との共生を目指す酒米を大切にしています。

また、棚田の保全とジアス支援を目的に「岩首昇竜棚田」で収穫されたコシヒカリも使用しています。

 

「水」

北の大佐渡山地と南の小佐渡丘陵に挟まれ、真ん中には国中平野が広がる佐渡。

特に大佐渡山地は離島では数少ない1,000m級の山が連なり、冬は大陸からの寒波によって雪で白く染まります。その雪解け水が地中深く染み込み、山の養分をたっぷり含んだ湧水が、やがて麓に流れ出て平野を潤します。

 写真

昔から酒造りが盛んだった真野エリアは、島内でも水量・質ともに恵まれた場所で知られていますが、真野鶴はその良い水質に加えて地中70mの深井戸から湧き出す清らかで冷たい地下水を使用しています。

水質は新潟県の特徴ともいえる軟水で、淡麗で口当たりの柔らかな酒を醸すのに最適です。

 

「人」

人づくりは、蔵にとって生命線ともいえる大切なものです。

現在の杜氏・工藤賢也は、大学卒業後、前杜氏であり県内屈指の実績を持つ松井万穂に弟子入りし、全国トップクラスの技術を伝授されました。

2000年秋に29歳という若さで杜氏に就任してからは、「少しでもいい酒を」という一念で酒造りに没頭。仕込み期間に蔵人が泊まり込んで行う早朝仕込みの実践など、手間ひまをを惜しまず頑なに手造りを守り続けています。

こうした努力が実を結び、全国新酒品鑑評会では6年連続を含み22回開催中14回で「金賞」を受賞するなど実績を積み重ねています。またイギリスやフランスの品評会での受賞するなど、その実力は海外からも高く評価されています。

 

「佐渡」

佐渡は地形的にも気候的にも酒造りに適した恵みの島です。

美味しいお米や豊かな水をもたらす地の利、海流の影響で本土より夏は涼しく冬は暖かい気温。特に酒造りの季節である冬は、曇天で日中と夜の温度差が少なく、酒造りに適した温度を保つことができ、醸造には最適な環境といえます。

 

そして、山海の幸に恵まれた素晴らしい食文化が、料理とともに味わう酒を求める声となり、高品質な酒造りへとつながっているのです。

 

学校蔵の試み

真野湾を望む高台に建ち「日本一夕日がきれいな小学校」と謳われた西三川小学校。

少子化の影響で2010年に廃校になりましたが、この素晴らしい環境をこのまま終わらせてしまうのはあまりにも残念に思い、2014年に「学校蔵」として再生しました。

 

学校を蔵にしたひとつの目的は「学びの場」にしようということ。酒を醸し、幸せを醸す「幸醸心(こうじょうしん)」の理念を掲げ、酒造りを通した人づくりも行う実践の場としています。

学校蔵は本社蔵と重ならない夏の間に仕込みを行い、日本酒について学べる「学校蔵の酒造り体験プログラム」を開催しています。コースは、製麹・三段仕込みを行う「一週間コース」と、酒母工程から製麹・三段仕込みまでの「20日間コース」があります。

参加者はお酒のビジネスに関わる人から、中高年のお酒好きな方や学生など多岐にわたります。近年はアジアはもちろん、欧米など海外の方が多くなっています。

 

また、酒造りの枠を超え広く学びの場をという想いから、日本総合研究所 主席研究員でエコノミストの藻谷 浩介氏をメイン講師に迎え、「佐渡から考える島国ニッポンの未来」を考えるワークショップ「学校蔵の特別授業」を開催。毎回多彩なゲストを加え、佐渡や日本、世界が抱える問題や未来についてディスカッションしています。

 

さらに、学校蔵をもっと気軽に訪れていただこうと、2022年には発酵×地域食材をテーマに「学校蔵Café」をオープンしました。見晴らしのよい景色を眺めながら、ランチやティータイムを楽しめます。酒米を使用した「佐渡の酒米カレー」がおすすめです。

カフェの営業日、時間は時期により異なりますので、SNS等でご確認をお願いします。

学校蔵Café Webサイト

 

みなさまへのメッセージ

日本全国そして世界の方々に、真野鶴のお酒を通して佐渡の素晴らしさを知ってもらいたい。佐渡の宝を和して醸した酒が、皆様の和みを醸すことができれば幸いです。

そして、機会がありましたらぜひ佐渡に来島いただき、地産の美味しい肴と真野鶴のお酒をお楽しみください。

お客様に真野鶴のお酒を末永くご愛飲いただけるよう、これからも「四宝和譲」の精神で酒造りを行ってまいります。

 


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